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    立川談志『談志 最後の根多帳』×佐藤清文

    • 2011.12.08 Thursday
    • 07:08

    立川談志

    Seibun Satow

    Nov, 27. 2011

     

    「談志ほど落語に深く興味を持った者は、過去一人も居るまい」。

    立川談志『談志 最後の根多帳』

     

     落語のために生まれてきた人物である。古典を噺せば、伝統的規範を踏まえながらも、比類なき個性を醸し出す端正さを感じさせる。誰もが「天才」と疑わない。それが立川談話志である。

     

     談志は世阿弥以来の加齢と共に芸も成長する発展段階論を拒絶する。円熟とは無縁で、晩年でも枯れた味を拒否している。

     

     いわゆる天才は、ほとんどの場合、早咲きにすぎない。たんに成長が早まっただけで、伸び悩んで終わってしまう。それを避けようと、恣意的なタブー破りを繰り返す者もいる。しかし、それは自分が見えておらず、感性にとらわれているだけで、自己完結しているにすぎない。

     

     談志はこうしたアーリー・ブルーマーと違う。それは1983年に真打昇進制度をめぐって落語協会を脱退し、立川流を創設、この組織が現在も続いていることからも理解できよう。いわゆる天才が組織運営者としても、後継育成者としても、成功するのは非常に珍しい。談志はこの点からももっと評価されてよい。

     

     政治・経済・学術・芸術・芸能・スポーツ・社会運動などの領域で、エスタブリッシュメントと対立した有志が独立して団体を創設することは少なからず見られる。けれども、たいていは尻すぼみに終わり、後継者の育成に関しては制度の確立にまで至らない。

     

     脱退に伴い、立川流派寄席に定席を得られなくなったが、地方を含め一門会や独演会を開き、活路を見出している。多くのファンが立川流を支持し、客席の入りはいつも好調である。

     

     しかも、立川流からは多くの弟子が育っている。彼らは、いわゆる真打レベルにあるだけではない。志の輔や志らく、談春、談笑などは、同世代の落語家と比較して、非常に優秀である。

     

     稀代の落語家でありながら、運営者や育成者としても成功した一因は、談志が自分自身を相対化して見る目を持っていたからだろう。

     

     落語の世で界は、概して、芸は誰かから教わるものではない。師匠や先輩から盗み、稽古を積んで己のものにすると考えられている。芸は暗黙知であって、教えられるものではないというわけだ。

     

     談志はその常識に異を唱える。自分自身の芸を相対化して、身体知を形式化すると、今まで気がつかなかったことがわかり、自らの成長につながる。おそらく談志ほど落語を解剖した人はいない。談志は、暗黙知を明示知へと変換して理論化し、著作を通じて世間に語りかける。理論に拠れば、他者と理解を共有できる。そうすれば、新人を育成する制度が可能になる。談志の天才はここにある。

     

     いわゆる天才は自己完結しがちである。一方、談志はそうした閉じられた天才ではない。談志は多くの遺産を遺している。継承しきれないほどの量だ。この開かれた天才において、歴史は確かに変わっている。芸が自分から離れ、発展していくことを決して厭わない。まったく談志ってのは…

    〈了〉

    参照文献

    立川談志、『談志 最後の根多帳』。梧桐書院、2010


    JUGEMテーマ:原発
     
    評価:
    立川談志
    梧桐書院
    ¥ 2,205
    (2010-04-20)
    コメント:そらく談志ほど落語を解剖した人はいない。談志は、暗黙知を明示知へと変換して理論化し、著作を通じて世間に語りかける。理論に拠れば、他者と理解を共有できる。そうすれば、新人を育成する制度が可能になる。談志の天才はここにある。 佐藤清文

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    • 07:08
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      コメント
      破門はされたものの、門下には快楽亭ブラックさんという方もおられるのだ。(CDブックでしか知らないのだけど、とても好きなのであった。)
      • 奥主 榮
      • 2011/12/09 2:38 AM
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